

樋熊哲也/元治は、絞り染めと草木染めを融合させた独自の作品づくりで知られる染色作家の親子です。日本に古くから伝わる伝統的な染色技法を大切に受け継ぎながら、自然素材が生み出す色彩や手仕事ならではの豊かな表情を追求し、一点一点に温もりと個性を宿した作品を制作しています。
樋熊氏が特に重視しているのは、「自然が生み出す色」と「手仕事による表現」です。化学染料では表現しきれない柔らかな色合いを求め、植物の葉や樹皮、根、実などから染料を抽出する草木染めを用い、四季折々の自然が持つ豊かな色彩を作品に映し出しています。草木染めならではの穏やかで深みのある色合いは、時間の経過とともに少しずつ表情を変え、着るほどに味わいが増していく魅力があります。
さらに、作品には伝統的な絞り染めの技法が巧みに取り入れられています。生地を糸で括ったり縫い締めたりすることで染料の浸透を調整し、偶然性を活かした唯一無二の模様を生み出します。職人が一つひとつ手作業で括りを施すため、同じ柄が二つと存在しないことも大きな魅力です。規則的な文様だけではなく、自然の流れや風景を思わせる柔らかな表情は、絞り染めならではの美しさを感じさせます。
樋熊氏の作品には、四季の草花や樹木、水の流れ、大地の色彩など、日本の自然から受けた感動が表現されています。派手な華やかさではなく、落ち着きのある色彩と豊かな質感が特徴で、着る人の個性を引き立てながら、年齢を問わず長く愛用できる作品として親しまれています。
伝統技法を守るだけではなく、現代の暮らしや感性にも調和するデザインを追求する姿勢も、樋熊哲也氏の魅力です。自然の恵みと職人の手仕事が織りなす作品は、一枚ごとに異なる表情を持ち、工芸品としての価値だけでなく、「自然をまとう喜び」を感じられる着物として、多くの着物愛好家から高い評価を受けています。伝統と自然、そして創造性が調和した作品は、日本の染色文化の魅力を現代へ伝える存在となっています。


2025年9月
心斎橋店
2025年8月
福岡天神店
2025年4月
心斎橋店