

螢庵は、京都・美山の豊かな自然に囲まれた工房から、西陣織七百年の伝統を未来へつなぐ織物を生み出すブランドです。西陣織「田村屋」二代目・田村隆久氏が手掛ける作品は、伝統の技術を大切に守りながらも、現代の感性を取り入れた意匠と色彩で、多くの着物愛好家を魅了しています。京都・美山に工房を構えたのは、自然の中で感性を磨き、本当に心豊かなものづくりを追求したいという想いからです。四季折々の美しい景色や澄んだ空気の中で育まれる感性は、一点一点の作品に息づいています。
螢庵の作品づくりで大切にしているのは、「伝統を受け継ぎながら、新しい息吹を添える」ことです。西陣に受け継がれてきた高度な織の技術を礎に、現代の装いにも調和する洗練されたデザインを追求しています。色彩や構図にはアパレル業界で培った感性も活かされ、古典の品格と現代的な美しさが自然に調和した作品へと昇華されています。格式を備えながらも堅苦しさを感じさせず、さまざまな装いに寄り添うことができるのも螢庵ならではの魅力です。
代表的な技法である「引箔」は、あらかじめ文様を施した箔を細く裁断し、一筋ずつ織り込むことで繊細な模様を織物に表現する高度な技法です。また、長い年月を経たような風合いを生み出す「古箔」や、人の手で一枚一枚揉みを加えた「揉み箔」など、多彩な箔表現を駆使し、光の加減によって表情を変える奥深い織物を生み出しています。さらに、筒状に一枚で織り上げる伝統技法「本袋帯」にもこだわり、しなやかな締め心地と美しい仕上がりを実現しています。
螢庵の作品には、受け継がれてきた西陣の技と、美山の自然が育む感性、そして新しいものづくりへの挑戦が息づいています。一枚の帯には、職人の確かな技術だけでなく、素材へのこだわりや、装う人への思いやりまでも織り込まれています。時代を超えて受け継がれる伝統と、現代の美意識が調和した螢庵の作品は、日々の装いに上質な彩りを添え、永く愛され続ける逸品として多くの人々を魅了しています。


2026年7月
銀座本店