

斎英織物は、山形県米沢市で大正12年(1923年)に創業した米沢織の織元です。百年にわたり受け継がれてきた伝統技術を礎に、「織り手のぬくもりが伝わる着物、着る人をやさしく包み込む着物づくり」を理念として、自然の恵みと職人の技を活かしたものづくりを続けています。平成18年には、経済産業大臣指定伝統的工芸品「置賜紬」の伝統織物工場にも認定され、米沢織を代表する織元の一つとして高く評価されています。
斎英織物の大きな特徴は、紅花や藍をはじめとする山形県内の草木を用いた草木染めです。自然の植物から抽出した染料で絹糸を丁寧に染め、その糸を織り上げることで、化学染料では表現できない柔らかな色彩や奥深い風合いを生み出しています。自然の色は気候や季節によって微妙に変化するため、一反ごとに異なる表情を見せることも魅力の一つです。また、「黄金の繭」と呼ばれる希少な国産黄繭を独自に育成・活用し、その美しい光沢とやわらかな風合いを活かした代表作「月光着尺」など、他にはない作品も生み出しています。
織りの工程では、現在では希少となった木製ドビー織機を現役で使用しています。木製織機は絹糸への負担が少なく、糸本来のしなやかさや風合いを最大限に引き出せることが特徴です。また、帯専用織機も備え、八寸名古屋帯や着尺、角帯など、多彩な作品を一貫して製作しています。一本一本の糸を大切に扱いながら丁寧に織り上げられる生地には、職人の技術だけでなく、着る人への思いや温もりまでもが織り込まれています。
斎英織物は、古き良き米沢織の伝統を受け継ぐだけでなく、その技術を未来へつなぐ挑戦も続けています。着物や帯だけでなく、ストールやバッグ、ネクタイなど和の織物を活かした洋装品の開発にも取り組み、新しい世代へ米沢織の魅力を発信しています。自然への敬意、素材へのこだわり、そして職人の確かな技術が織りなす作品は、日々の装いにやさしく寄り添い、長く愛される一枚として多くの着物愛好家を魅了し続けています。

